おせち料理には欠かせない一品の「伊達巻」。
黄色くてふわふわした渦巻き模様の伊達巻は、見た目も綺麗な甘みのある卵料理です。
卵焼きにも似たこの伊達巻には、どんな由来と意味があるのでしょう。
伊達巻の名前の由来
「伊達巻」は、魚のすり身に卵黄と出汁を加えて、砂糖やみりんで甘味をつけて焼き上げ、巻きすなどを使って渦巻状に形を整えられた料理です。
「伊達」という言葉には「派手な行動」とか「派手に外見を飾る」というような意味があり、「粋」や「見栄」といった意味合いで使われることも多い言葉です。
では、どうしてこの食べ物が「伊達巻」と呼ばれるようになったのでしょう。
その由来には、いくつかの説があるようです。
「伊達政宗に由来している」という説
戦国時代、東北地方に「伊達政宗」という武将がいました。
彼は、魚のすり身に卵を混ぜた焼き物を好んで食べていて、これが「伊達焼」と呼ばれるようになります。
「伊達焼を渦巻状に巻いたもの」なので「伊達巻」と呼ばれるようになったという説です。
「派手な卵焼きに由来している」という説
「伊達巻」は、魚のすり身に卵を混ぜて焼いたものを巻いているので、とても色彩豊かな黄色をしていて、普通の卵焼きに比べて味もよく見た目も豪華で派手になっています。
「派手な卵焼き」を巻いているという意味で「伊達巻」と呼ばれるようになったという説です。
「着物の帯に由来している」という説
着物を着る際には、着崩れしないように帯の下に幅の狭い帯を締めますが、これは「伊達締め(伊達巻き)」と呼ばれます。
この「伊達締め」に似ていることから「伊達巻」と呼ばれるようになったという説です。
伊達巻の意味
「伊達巻」はおせち料理には欠かせない一品ですが、おせち料理の品には、それぞれの料理に意味が込められています。
「伊達巻」には「学業成就」「子孫繁栄」などの意味が込められているといわれます。
学業成就
「伊達巻」は、魚のすり身に卵を混ぜて焼いたものを巻いて作られますが、その形が「巻物」によく似ています。
「巻物」は本の古い形態で、その中には知識の元が詰め込まれているので「知性の象徴」ともいえます。
「伊達巻」の形が知性の象徴ともいえる「巻物」の形に似ていることから、知識が増える縁起物とされ、学問や習い事など「学業成就」の願いが込められているとされています。
子孫繁栄
「伊達巻」には卵が使われていますが、卵は生命の原点であり「子宝」の象徴でもあります。
また、「伊達巻」の丸い形が「家庭円満」を、卵の黄色が土の色をイメージさせ「豊作」を連想させることもあり、「伊達巻」には「子孫繁栄」の願いが込められているとされています。
伊達巻の「右巻き」「左巻き」
「伊達巻」は「渦巻状」になっていますが、盛り付ける時には「右巻き」「左巻き」どちらの状態にすれば良いのでしょう。
・右巻き:エネルギーが入る
・左巻き:エネルギーが抜ける
といわれています。
「左巻き」より「右巻き」の方が縁起が良いとされているので、おせち料理などでは、新しい年のエネルギーを入れて蓄えるという意味からも、「右巻き」となるように盛り付ける方が良さそうです。